【激辛グルメ×脳科学】激辛グルメ、激辛フェス、寒い冬だけじゃない?口から火を吹くような辛いものを欲する理由を脳科学的に考察

2024/4/19 21:12
【激辛グルメ×脳科学】激辛グルメ、激辛フェス、寒い冬だけじゃない?口から火を吹くような辛いものを欲する理由を脳科学的に考察

私たちが食事をする際にはさまざまな味覚を感じます。甘い、しょっぱい、酸っぱい、辛い…そして、疲れた時は甘いものを食べたくなるという経験をした人も多いでしょう。同じように辛いものが好きな人の中には、なぜかわからないけど辛いものが食べたい!と突然辛いものを欲する経験をしたことがある人も多いのではないでしょうか。なぜ私たちは時々辛い味を求めるのか、今回はそのメカニズムについて脳科学的な視点から考察していきます。

【目次】
*痛みを和らげる快楽物質が出る
*美味しいものと一緒に辛みを食べ、美味しく感じる
*痛みでストレスや疲労から解放され、幸福を感じる
*食欲を増進させる
*身体や心理状況が辛いもの欲に関連している

1.痛みを和らげる快楽物質が出る
私たちが辛いという味覚を感じる場所は舌の奥深くにある三叉(さんさ)神経です。この神経を通し、辛みは痛みとして脳に伝わります。この表面に辛みのセンサーがあるようです。辛さと熱さを感じるセンサーは同じ場所だったと、米カリフォルニア大学サンフランシスコ校教授のデービッド・ジュリアス教授のもとで実際に実験を行った富永教授が述べています。
辛みセンサーを介して、「辛い」という刺激を受け取った脳が認識するのはなんと「体が負傷した」という認識。その痛みの感覚を和らげようとしてβ-エンドルフィンと呼ばれる神経伝達物質を分泌します。この物質は間接的に脳に快楽をもたらすため、最初の刺激が痛みであったとしても快楽を引き起こす要因となった刺激であれば好ましいものであると脳が判断しているのです。

2.美味しいものと一緒に辛みを食べ、美味しく感じる

私たちは多くの場合、味付けの一部として辛みを使います。美味しいお肉や魚、野菜に甘みや酸味などの味付けとともに辛みを入れる料理がほとんどです。美味しいものを食べた時も、脳内でエンドルフィンが放出され、幸福感をもたらします。美味しいと感じてβ-エンドルフィンが出て、辛いと感じたことでさらにβ-エンドルフィンが出ることで2つの感覚により相乗効果で幸福感が増えるのではないかと考察できます。

3.痛みでストレスや疲労から解放され、幸福を感じる

ストレスや疲労状態にあると、脳が快楽を求めるようになります。辛い味は痛いと私たちの脳内で認識されるため、心の痛みを紛らわせようとしているのではないかと言われています。また、甘いものを食べている時よりも辛いものを食べている時の方がストレス反応が減少しているという研究もあるようです。一時的にでもストレスから目を逸らすことができれば、その時はリラックス効果をもたらします。そのため、ストレスや疲れを感じた時には辛いものが欲しくなる傾向があります。唐辛子などに含まれるカプサイシンは、運動をしなくても発汗作用をもたらすため、汗をかいて気分爽快になりますよね。

4.食欲を増進させる

脳内報酬系は、食欲や欲求を制御する重要な領域です。ストレスや不安などの感情が脳内報酬系に影響を与え、特定の食べ物や刺激を求めるようになります。辛い味には食欲を増進させる効果もあります。辛い食べ物を摂取すると、唾液や胃液の分泌が促進され、消化を助ける働きがあります。また、辛い味には新陳代謝を活性化させる効果もあり、食欲を増進させることができます。さらに、身体的な欠乏も、辛いものを欲する要因の一つです。疲労や栄養不足が脳に信号を送り、塩分や糖分などのエネルギー源を欲するように促します。辛いものを欲するときは、特に糖分、ナトリウム、カリウム、ビタミンB群が不足していると考えられるため、食事の見直しもしてみてください。

【身体や心理状況が辛いもの欲に関連している】

辛いものを欲する心理や脳のメカニズムには、さまざまな要因が絡み合っています。コロナ禍で行動が制限された結果、刺激を求めて激辛ブームが再燃して新たな商品が誕生して話題にもなりました。毎年のように激辛フェスに多くの人が訪れるのは、刺激を求めているのかもしれませんね。しかし、その背後には脳が求める快楽やストレス解消、食欲増進といった健康的な効果があることが分かります。辛いものを食べたいと感じた時には、適度に楽しむことで心身のリフレッシュが期待できるでしょう。

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